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従業員満足離職率抑止モチベーション人間関係時給環境働きやすさ参加意識内面的満足座談会
2018/03/30
"ESなくしてCSなし"は本当か?!~コールセンター従業員満足の真価を考える~
20社以上の事例の中から、もっとも分かりやすい"常駐型コンサルティング"の中身を、事例をもとに解説していきます。
今回は、「"ESなくしてCSなし"は本当か?!~コールセンター従業員満足の真価を考える~」をお送りいたします!
コールセンターでは
ES(従業員満足)こそが重要だと言われるようになっています。それは主に離職率抑止の観点から、多くのコールセンターでマネジメント層が頭を悩ませている問題ではないでしょうか。ベテラン層の離職は蓄積された経験やナレッジの流出、パフォーマンスや品質の低下に直結します。
また中間層、新人層の離職はセンター全体のモチベーションを下げ、場合によっては口コミによって更に採用を難しくするという悪循環につながります。
そしていずれの場合も採用費や研修費、育成にかかるコストがセンターを圧迫してしまう──。
これらはどのコールセンターにとっても切実な問題です。このように、離職抑止という観点からESに取り組んでいるセンターも多いでしょう。
しかし今回は少し観点を変えて、
ESがCS(顧客満足)に及ぼす影響について考えてみたいと思います。そしてそれは結果として、離職抑止にもつながると考えています。
なお、SVをはじめとする管理者層のESと、コミュニケーターのESとは別物ですが、ここでは直接顧客と対話するコミュニケーターについて検討してみます。
ES向上に悩むセンターの一助になれば幸いです。
コールセンターで働くメリットと過酷さ
コミュニケーターが全員正社員である、というセンターはまだまだ少ないです。多くのセンターでコミュニケーターは時給制であり、その中にはパートで働く主婦(夫)層も一定数いるのが通例なのではないでしょうか。
学生や夢を追っている若者が多いのもコールセンターの特徴です。これは双方にメリットがあり、利害が一致する必然的な結果であると思われます。
コールセンターは規模が大きいほど細やかな配置調整が求められ、一方上記の人々は、勤務時間や休みの融通がきくところで働きたいと考えるのです。
そして、コールセンターは求められるスキルに加えてそのストレス性の高さから、時給も一般的な接客業よりは水準が高めです。
経験上、コールセンターの仕事が好きだという理由でこの仕事を選んでくれるコミュニケーターは少数だと思っています。つまり、多くのコミュニケーターは勤務条件によってコールセンターを選び、自身の生活と調整のしやすい仕事だから継続していのではないでしょうか。
そうすると一見、離職自体は少なめであってしかるべきように感じますが、残念ながらそうではないのです。
消費者が企業に求めるサービスレベルは年々高くなり、システムの向上とあいまって、コミュニケーター管理体制はどんどんシビアになっています。
通話時間や後処理時間は1秒単位で管理され、休憩時間や勤怠には厳しく、通話はモニタリングされて、品質と効率の向上が常に求められる──。
そんな中で理不尽にクレームを受けて謝り、働く人が多いので人間関係にも悩みがちです。
コールセンターは過酷なのです。
時給?環境?働きやすさ?
こんな中、コールセンターではさまざまなES向上の取り組みが行われています。
休憩室を優雅なカフェテリア風にしたり、マッサージチェアを無料で使えるようにしているセンター、また託児所を兼ね備えたり、フリードリンクにしているところも近年は少なくありません。
時給や手当てについても10円単位で社内努力が行われているし、さらにはセンター内イベントや表彰といった形でモチベーションを向上させようと頑張っている運営の姿を目の当たりにしてきました。
しかしこれら外的な要素は、コミュニケーターの一時的なモチベーション向上につながっても、本当の従業員満足にはなかなかつながっていないと感じるのが正直なところです。
時給が50円上がっても、イベントで楽しんでも、コミュニケーターはやはりちょっとしたきっかけで辞めてしまうし、なかなかコールセンターを好きになってはくれないのです。
参加意識という内面的満足
これはある企業で実際にコールセンターのCS向上を担当した時の話です。
その業務ではCS調査をメールのアンケートでとっていたのですが、これが恐ろしく悪かったのです。商品に対してではなく単純にコミュニケーターの対応に対する苦言が大半でした。これはコールセンターにとっては一大事です。
そこで、モニタリングや品質研修という一般的な改善活動と並行して、ベテラン層のコミュニケーターに対して
座談会を開きました。応答率に目をつぶり忙しい時間帯にベテランメンバーをまとめて抜くのですから、なかなかのチャレンジです。
最初はとにかく愚痴を聞くことに徹しました。
しかしその愚痴には想像以上に熱い思いが詰まっていることにすぐに気づきました。
昔はもっと横のつながりがあって情報交換ができていた、
新人にはこんな風にフォローしていた、
この席にエクセルが入っていればもっと作業が効率化できるのに、
あのSVは面倒なことからすぐに逃げる、
わからないならわからないって言ってほしい(後半は若干の悪口も含まれているが)等々です。
そこで、その意見をすべて書き起こし、SVやセンター運営側にフィードバックすると同時に、意見への進捗状況と回答、できない場合はできない理由を書いて毎週全員に回覧することにしました。すると徐々にチームの雰囲気が変わってきたのです。
改善提案をしたいという空気が醸成され、逆に無責任な愚痴や悪口が減ったのです。
参加意識から企業への愛着、そしてCSへ
この業務はその後どうなったかというと、
お客様満足度が飛躍的に上がり、驚くほどきれいに反比例して離職率が下がりました。
もちろん座談会だけが改善要因ではないですが、わずか半年ほどのこの成果にはベテラン層の愚痴に隠れた熱い思いが大きな寄与を果たしてくれました。
特に注目した変化は、業務への参加意識が企業や商品への愛着に繋がったことです。
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自分が「関わっている」ものがよくなると嬉しい、これは正社員でも時給で働く人でも同じであり、コールセンターは幸せなことにそれを直接顧客から聞ける窓口なのです。
顧客から「おたくの商品が好き」と言われた時に、自然に嬉しいと感じ、反射的に「ありがとうございます」と心から出てくるコミュニケーターが自社のセンターにどれだけいるか、それこそがESとCSの到達点ではないでしょうか。
"ESなくしてCSなし"はやはり正しいのです。
業務改善のカギは、確実に現場にあります。
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